
街へ出て、小さな発見にレンズを向けるのは面白い。ウォークキング・ショットは写真の醍醐味のひとつだ。
私の少年時代、カメラや時計は貴金属と同格だった。だから、初めて自分のカメラを手にしたのは中学生のとき。もちろん親父のお下がりで、機種は1961年製のキャノネットという、今思うとたいへん不思議な構造をしたカメラだった。これに小遣いをためて小さな三脚と一番安いストロボを増設し、フィルム代がたまると近所のタバコ屋でモノクロを一本買っては商店街や公園へ出かけた。
さすがに近頃はタバコ屋でフィルムを買うことはないが、何やら期するところもあり、三脚なしで街へ出てみることにした。目新しい景色は沢山あるのだけれど、ついつい昔ながらの景色へ足が向いてしまう。こどもの頃から親しんだ街の匂いが、いつのまにか私にも染みついているようだ。
福博(ふくはく)、つまり中州をはさんで西に福岡、東に博多。よそ行きの標準語も誠に結構だけれど、博多弁が飛ぶかう本音の賑わいも素敵だと思う。
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