「雁の巣(がんのす)飛行場」は、昭和11年(1936)に日本発の国際空港として開港した。
当時は中国、朝鮮、沖縄、台湾などへの国際航路を持ち、最新式の夜間照明が施されるなど、東洋一の飛行場と称されたという。
 しかし戦時中は旧日本軍が使用することとなり、戦後は米軍が接収。昭和47年(1972)に返還されるも、空港として活用されることはなく、国の事業で公園(現在の「雁の巣レクリェーションセンター」)として整備され現在に至っている。
 この敷地の片隅に、現在も空港の面影を残す建造物が残っている。
 民間所有であったために撤去を免れた鉄骨平屋建ての巨大な3棟の格納庫である。
 とはいっても放置されて既に三十年。その老朽化は余りにも激しく、いつ倒壊しても不思議ではない。
 近年まで格納庫は5棟が残っていたというが、うち2棟は台風で倒壊したのだそうだ。現存する3棟もかなり危ない。
 このほど格納庫の数メートル横に新しい道路が開通する。博多湾人工島(建設中)へのアクセス道路なのだが、公園を管理する国土交通省・海の中道海浜公園工事事務所は、これら格納庫が自然崩壊した際の危険を考慮し、今秋にも3棟すべてを撤去すると発表した。
 十数年前から格納庫の保存を訴える市民運動も行なわれていたが、たいへん残念な結果となった。できることなら後生へ伝えたい建造物のひとつだと思う。

2002.08.18




あとがき


 Photo Album「廃虚〜雁の巣飛行場跡」は、
 2002月6月1日から8月10日の間に撮影したものです。

 さて、これら格納庫のその後については大いに気になるところですが、
 残念ながら地元紙が小さく報じた記事によると、
 9月9日から撤去作業が始まったということです。
 ひょっとすると、もう今頃は更地にでもなっているのでしょうか。
 惜別の念もひとしおですが、
 最後まで歴史の証人として畏怖堂々と佇んでいたあの3棟の格納庫へ
 あらためて敬意を表し、心静かに見送りたいと思います。
 感謝。

2002.09.15